楽譜を読めなくても大丈夫?現役講師の考え

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楽譜を読めなくても大丈夫?音楽教室の選び方

初めて音楽教室に通う子供の場合はもちろんですが、大人の方の場合、音楽の授業で習った程度の読譜力(楽譜を読む力)でも大丈夫か、不安になる方も多いでしょう。
実際にこのような悩みを抱えて、なかなか楽器を手に取れないという方が多いのです。

今日はそんな方々の為に、レッスンではどのように教えてもらえるのか、自分で読譜力を上げていけばよいのかを、経験談も交えながらお伝えしていきます。

楽譜を読めない方が多いのが現状

私は今まで管楽器を15年以上教えています。
子供はもちろんですが、どちらかと言うと大人の方の方が多く通ってくださっています。
その比率は3:7で大人の方が多いです。

この比率は楽器によって違いますが、最近ではどの楽器でも、子供よりも大人の方が習うというケースが増えてきていると感じています。

子供が音楽教室に通う場合、すでにスラスラ楽譜を読めているというケースはごく稀です。
特に小学生の場合、年齢が低ければ低いほど、ピアノの個人レッスンを真剣にやっていない限りはまず読めないと私は考えています。

大手音楽教室のグループレッスンでは、読譜力を上げるというよりも、音を楽しむことに重点を置いているので、この場合も「あまり読めない」と判断しています。

大人の方でもそうです。
昔、真剣に音楽をやっていた方以外は「これって…ド?」「ト音記号ってなんだっけ?」というレベルです。これは、楽譜を全く読めないと言っていいでしょう。
1から勉強しなおすつもりで取り組むのが良いです。

読める人の方が上達は早い

生徒「楽譜を読めなくても、楽器が演奏できるようになる?」
講師「はい、楽譜が読めなくても大丈夫です!」

そう言ってくださる先生がほとんどです。

しかし、すべてを真に受けてはいけません。

これは、今は読めなくても良いけれど、いづれは読めるようになってもらう、という意味です。

やはり、最初からスラスラ読める方と読めない方では、出発点が違うと考えても良いでしょう。
特に鍵盤楽器意外の場合は顕著に表れます。

ピアノの場合、指1本で押せばすぐに音が出ます。

しかし他の楽器の場合、指の押さえ方、音の出し方など、他の事にも気を使わなければいけないんです。正直、譜面を読む余裕はありません。

1度にたくさんの事を同時にこなすのは、至難の業です。

この中のどれか一つでもマスターしていれば、かなり楽になります。
それが読譜力なのです。

やはりたくさんの生徒さんを見てきて、最初から譜面を読める方というのはスタートダッシュが早いです。

まずは読譜力を上げた方が良い

譜面は、読めないよりは読めた方が絶対に得です。

実は、私は音大に入るまで、あまり楽譜が読めませんでした。
読めなくても問題ないかな~なんて軽い気持ちで考えていましたが、それは大間違いでした。

音大では、課題をたくさん与えられます。
それはどこの大学でも同じことですが、楽譜が読めないと、まずは音符を読むことから始めなければいけません。

例えば、英語も分からないアメリカの大学に入学し、英文の教科書を渡されて要約する課題が出されたとします。

まずは辞書を使って単語の意味と読み方を調べる…そこから始めなければいけません。調べる時間は膨大になることは想像できます。

もし英語がスラスラ読めるのであれば、この時間は必要ないわけです。

これは音楽も同じことが言えます。

音の高さを数え、リズムを調べ、それと同時に指の押さえ方、音の出し方、姿勢を気にしながら演奏することは、とっても大変です。

読譜力の上げ方

「私は楽譜が読めないから…」
そんな理由で楽器をあきらめる必要など全くありません。

音楽教室の講師は、自分の専門の楽器だけしか教えられないわけではありません。
楽譜を読めない方の為に、楽譜の読み方を教えることができるように勉強しています。

もし教えられないような講師であれば、初心者の方は特にそうですが、すぐに違う教室へ移った方が良いかもしれません。初心者の教え方は慣れていないと判断されても仕方ありません。

ただ、中には「自分で勉強して!私は技術的な事だけ教えるから」という先生もいます。
確かに、読譜力を上げるには自分の努力が必要不可欠です。

では、どうやって読譜力を上げたらよいか、具体的にお教えします。

楽譜を準備する

まずは自分のやりたい楽器の楽譜を準備しましょう。
楽器によって、出てくる楽譜の音域が違います。

例えばフルートの場合、3オクターブしか出てこないので、ピアノと比べて慣れる音符も少なく済みます。

ピアノの場合、ト音記号以外にもヘ音記号にも慣れなければなりません。

私は、実際にレッスンで使う教本を使ってもらっています。
後で実際に演奏するわけですし、予習も兼ねて勉強してもらうわけです。

楽譜を書く

まずは5線譜の「線」と「間」を見慣れることが大切です。
写経のように、楽譜を書き写してみましょう。

自分の興味のある楽譜を取り寄せ、そっくりそのまま、まっ白な5線譜に書き写してみます。
このとき、何の音か読みながら書いていく方が良いですね。

子供の場合は、ドリルを使う先生も多いようです。
飽きないように、絵や楽しさを織り込みながら作られているものが多いんです。

私の場合は、これまた教本を使います。
ト音記号から拍子、臨時記号も全部そっくりそのまま書き写すんです。
理由は上記と同じ、これから実際演奏するための予習になります。

楽譜を音読する

いつでもどこでもできる「音読」をしてみるといいです。これはかなり効きます。
例えば、大人の方であれば通勤電車内、スマホでも見られる楽譜がありますので読む練習はできます。
家事の合間などの隙間時間でもできる事なので、忙しい大人の方でもやる気さえあればできます。

楽譜はどんなものでもかまいませんが、教本があるならそれが良いでしょう。理由は上記と同じです。

決して声に出さなくても良いんです。
心の中でゆっくり読んでみてください。

このときに大事なのは、リズムは完全に無視すること。
まずは玉だけを読んでいってください。

例えばこのような楽譜があった場合。

リズムや調合は完全無視。音程はつけなくて構いません。
「ド・レ・ミ・ファ・ド・レ・ファ・ミ・レ・ド・ド・ド・ド・ド・レ・ド・シ・ラ」 と淡々と読んでいきましょう。

これがどの楽譜でもスムーズにできるようになったら、リズム付きで読んでみましょう。
「ドーレミファードーレファミレドーーードードドドレドシラ」
このような感じです。

ポイントは…

☑目線は先へ

☑数をこなす

☑最初はゆっくり だんだん速く

の3つです。

目線は先へ

楽譜を読むのが生徒さんの目を、私はよく観察しています。
苦手な生徒さんの共通点は「楽譜を点で読んでいる」ということ。

逆に、楽譜をスラスラ読んでいる方は「楽譜を線で読む」方です。

左から右へ、滑らかに目が動いています。

これは、教科書の音読でも同じことが言えるのではないでしょうか。
常に目線は先へ、先へ、です。

数をこなす

とにかく、色々な楽譜をたくさん読んでみてください。

最初は簡単そうなものでも良いですが、私が生徒さんにお勧めしているのは、音符がたくさん書いてあるものをお勧めしています。
あえて自分のレベル以上の物から挑戦すると、今やっているものがとても簡単に感じるようになります。

教本で練習する場合は、最後のページからやるのが良いでしょう。
教本は、後ろのページが一番難しくできているからです。

最初はゆっくりから

初めからスラスラ読めるはずはありません。

まずは牛歩の歩みのごとくゆっくりからでいいんです。

できるようになったら、だんだんとスピードを意識しながら、どんどん読んでいきましょう。

数をこなせばこなすほど、どんどん読めるようになっていきますよ!

まとめ

楽器を始めるときに「楽譜が読めないのが心配…」という事でしり込みをしているのであれば、私がそっと背中を押して差し上げます。

大丈夫です。

楽譜が読めなくても楽器を始めることができます。

ただ、その後は少し努力が必要です。

とにかく読んで読んで、読みまくること。
楽器をさわる前に、まずやってみてほしいことです。

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